空調服は半袖と長袖どっちが涼しいのか。それでも私が長袖を着る理由

本記事は筆者の林業現場での実務経験および公的機関の情報をもとにした一般的な情報提供を目的としています。症状の判断や治療の代わりとなるものではありません。実際の対応については医療機関・専門家にご相談ください。緊急性が疑われる場合は、ためらわず119番通報してください。
猛暑日の下刈り現場では、空調服のファンが回っていても、服の中に入ってくる風そのものが熱いと感じることがあります。いっそ半袖のほうが涼しいのか。でも自分は毎日長袖を着ています。先に結論を書きます。
涼しさだけで比べるなら、順位はほぼ決まっています。
- 半袖 — 一番涼しい。袖口から風が抜けて腕まで届き、ムレも少ない
- 長袖 — 二番手。風が上半身全体を回るぶん、服の中にこもりやすい
- ノースリーブ(ベスト) — 首元は一番涼しいが、腕に風が届かず、日差しもまともに受ける
それでも、林業の下刈りでは長袖を勧めます。理由は涼しさとは別の2つです。
- ハチに刺される面積が減る — 長袖だと肌と生地の間に空気の層ができ、ハチが服の上に止まっても針が肌まで届きにくい。半袖・ノースリーブは露出した前腕にそのまま刺さります
- 直射日光を一日遮れる — 造林地の下刈りは日陰がありません。腕がむき出しだと朝から夕方まで肌が焼かれ続け、疲労が大きくなります
ハチにアレルギーがなく、アームカバーと日焼け止めで日差しを防げる人なら、半袖のほうが理にかなっています。
なぜ、空調服の風が熱く感じる日があるのか
空調服が涼しいのは、ファンで取り込んだ空気が汗を乾かし、その気化熱で体温を奪うからです。打ち水と同じ理屈です。
ところが、外の空気そのものが体温より高くて湿っている日は、この仕組みが弱ります。取り込む空気が熱いので汗がうまく乾かず、ファンは生ぬるい空気をかき混ぜているだけになります。こういう日は、熱中症対策の基本にあるこまめな休憩と水分補給を、いつも以上に短い間隔で挟むしかありません。空調服は「着れば涼しい服」ではなく、条件がそろって初めて効く道具です。
涼しさの順位が、なぜこの順番になるのか
半袖は袖口から風が抜けて腕に届きます。長袖は上半身全体を風が回りますが、こもりやすい。ノースリーブは首元だけ涼しく、腕には届きません。
これは自分の体感とも合います。半袖を着た日は腕に風が当たって気持ちいい。今使っているのはバートルとユニフォームネクストのコラボモデルで、ファンの位置が普通より高く、背中の上のほうから風が入ります。首や頭には抜けますが、腕の先までは届きにくい。順位だけ見れば答えは半袖です。それでも自分が長袖を選ぶ理由が、次の2つです。
長袖は、ハチとの距離を稼いでくれる
一番の理由はハチです。自分はアシナガバチに刺されると全身に蕁麻疹が出る体質で、先日も同僚が現場でアシナガバチに刺されたばかりでした。下刈り中は膝より下の茂みに刃を入れるので、地面すれすれの小さな巣を刈り飛ばすことがあります。その瞬間、飛び出したハチが腕や体にぶつかってきます。
長袖だと、肌と生地の間にたるみ、つまり薄い空気の層ができます。ハチが服の上に止まっても、針が肌に届く前に生地一枚と隙間が挟まります。刺されないわけではありませんが、確率は目に見えて下がります。防蜂ネット・防護服の選び方でも書いたとおり、空調服は完璧な防護ではなく、手も足も守れません。それでも、長袖という一点で前腕という刺されやすい面積をまるごと減らせるなら、涼しさ一段ぶんと引き換える価値はあると考えています。
生地が日差しを遮るという、もう一つの仕事
猛暑の現場で「脱ぐともっと暑い」と感じるのにも理由があります。長袖の生地が、腕への直射日光を防いでいるからです。
メーカーの解説でも、直射日光を遮って皮膚表面の温度上昇を抑える遮熱効果は大きく、近年の猛暑では長袖のほうが半袖より疲労を軽減できるケースが多いとされています(守-Mamoru-、ユニフォームネクストの解説による)。造林地の下刈りは、植えたばかりの苗木しかない斜面が現場です。日陰はなく、朝から夕方までずっと直射日光の下にいます。腕がむき出しだと、その時間ぶん肌が焼かれ続けます。
買う前に決めておくこと
涼しさだけで選ぶなら半袖です。ただ、現場で自分が優先しているのは「刺されないこと」と「日差しを一日浴び続けないこと」で、長袖はその二つで一番になります。
次に空調服を買うときは、「どれが一番涼しいか」の前に「自分は現場で何から身を守りたいのか」を先に決めてみてください。袖の長さの答えは、そこから出てきます。