アシナガバチ

アシナガバチに刺された今日。「ムカデは平気なのに」と怯えた同僚を見て思ったこと

アシナガバチに刺された今日。「ムカデは平気なのに」と怯えた同僚を見て思ったこと

本記事は筆者の林業現場での実務経験および公的機関の情報をもとにした一般的な情報提供を目的としています。症状の判断や治療の代わりとなるものではありません。実際の対応については医療機関・専門家にご相談ください。緊急性が疑われる場合は、ためらわず119番通報してください。

今日の午後、隣で下刈りをしていた同僚が蜂に刺された。

刈払機のエンジン音の合間に、小さく「うわっ」という声が聞こえた。振り返ると、その人は道具を放り出して左腕を押さえていた。よく見ると、腕の周りを小さな黒い蜂が一匹、まだうろついている。追い払って少し離れてから聞くと、蜂に刺されたのは生まれて初めてだという。

半年ほど一緒に現場に入っているが、この人がここまで動揺した顔を見たのは初めてだった。

ムカデには強いのに、蜂には弱かった

その人は普段、ムカデが出てもまったく動じない。素手で払いのけて作業を続けるくらい平然としている。だから正直、蜂も同じような扱いになるだろうと思っていた。

ところが実際は逆だった。刺された直後から「痛い、痛い」と繰り返し、腕をさすりながら明らかに顔色が変わっていく。地元では昔から「ムカデに強い人は蜂に弱い」と言われることがある。医学的な裏付けがある話ではなく、あくまで現場でよく聞く俗説の域を出ないが、今日目の前で見た反応は、まさにその通りだった。

体質による耐性の違いというより、単純に「これまで経験したことのない痛みへの構え」の差だったのかもしれない。ムカデの咬み痕には慣れていても、蜂の毒針は初めてなら誰でも身構える。

刺した蜂は、見慣れた「アシナガバチ」の色ではなかった

刺した蜂そのものは、飛び去る前に一瞬だけ姿を確認できた。体は小さく、全体的に黒っぽい。

こう言うと「本当にアシナガバチなのか」と思う人もいるかもしれない。世間一般でイメージされるアシナガバチは、茶色や赤褐色がかった色合いで、後ろ脚を垂らしてふらふら飛ぶ姿だ(アシナガバチとスズメバチの見分け方でも触れた通り)。今日の個体は、それよりずっと黒く、体も小さかった。

アシナガバチの仲間には「コアシナガバチ」という、他の種より小型で体色が黒っぽい種類がいる。今日の個体はこれに近いのではないかと見ているが、正直なところ写真を撮り損ねたので確定はできない。次に似たような場面があれば、まず一枚撮ってから追い払うくらいの余裕を持ちたい。

刺されて数分で赤く腫れ、その日の作業は中止にした

刺された直後は針の痛みだけだったが、数分もしないうちに患部が赤く腫れ始めた。腫れの広がる速さに本人も動揺したのか、「今日はもう無理」と道具を片付け始めた。結局その日の作業はそこで打ち切り、帰宅することになった。

症状は軽症・中症・重症・重篤の4段階で進むとされているが、今日の時点ではまだ局所の腫れだけで、それ以上の全身症状は出ていない。ただ、初めて刺された人ほど翌日以降になって急に腫れが広がってくるケースもあると聞く。今夜から明日にかけて、もう少し様子を見ておく必要がありそうだ。

今年は、蜂そのものをあまり見ていない

刺されたこと自体とは別に、今年の現場でずっと引っかかっていることがある。蜂を見かける回数が、明らかに少ない。

見つけた巣も小ぶりなものばかりで、去年までのような大きな巣に当たった記憶がない。全国的には「今年はスズメバチの被害が例年より早い」という報道も出ているが、少なくとも自分たちが入っている山では、体感としてはむしろ逆だ。

ニュースと現場の感覚がずれることは、他の分野でもよくある話なのだろう。ただ、蜂が少ないなら少ないで、今日のように「油断していた場所で、慣れていない人が刺される」ことは起こる。数が少ないからといって、警戒を緩めていい理由にはならないと、今日改めて思った。

刺された同僚が、この先どんな経過をたどるかはまだ分からない。腫れが引いていくのか、それとも別の反応が出てくるのか。今日はここまでしか書けない。

この記事を書いた人

藤川翔(屋号:希翔)

本記事は筆者が現場で直接立ち会った、今日起きたばかりの出来事の記録である。刺された本人ではなく、隣で作業していた筆者の視点で書いている。

この記事の裏話や、体験の背景はnote(山守ラボ)でも綴っています。