マダニ

林業現場のマダニ対策。気づかないうちに刺されるSFTSの怖さと正しい対処法

林業現場のマダニ対策。気づかないうちに刺されるSFTSの怖さと正しい対処法

本記事は筆者の林業現場での実務経験および公的機関の情報をもとにした一般的な情報提供を目的としています。症状の判断や治療の代わりとなるものではありません。実際の対応については医療機関・専門家にご相談ください。緊急性が疑われる場合は、ためらわず119番通報してください。

スズメバチヤマビルは「咬まれた・刺された」とその場で気づけることが多いのに対し、マダニは違います。咬まれても痛みがほとんどなく、気づかないうちに何時間も、時には何日も皮膚に食いついたままになることがあります。林業・山林作業に携わる者にとって、この「気づけないこと」自体が最大のリスクです。

マダニに咬まれても気づきにくい理由

マダニは吸血時に麻酔作用のある唾液を分泌するため、咬まれた瞬間の痛みやかゆみをほとんど感じません。皮膚の柔らかい部分(足の付け根、脇、腹部など)を好んで咬むため、作業中は特に気づきにくく、筆者自身も気づいた時には足がパンパンに腫れ上がっていた経験があります。

最大の危険はSFTS(重症熱性血小板減少症候群)

マダニ対策で最も重視すべきなのが、マダニが媒介するウイルス感染症「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」です。

九州南部の山林で作業する林業従事者にとって、SFTSは決して他人事ではありません。

参考: 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(国立健康危機管理研究機構)マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群」に注意しましょう(鹿児島県)

なお、SFTSはかつて西日本中心の感染症とされてきたが、2025年には関東・北海道でも感染例が確認されている。「西日本だけの話」ではなくなった2026年の患者数で最新の発生状況をまとめている。また、自分が刺されていなくても、感染した飼い犬・猫の看病を通じて感染するケースも報告されている。詳しくは犬・猫からの感染についてにまとめた。

予防策

咬まれてしまったら絶対にしてはいけないこと

マダニが皮膚に食いついているのを見つけても、自分で無理に引き抜こうとしてはいけません

マダニに咬まれた場合の対処フロー図
マダニを見つけたときにまずすべきこと

正しい対処法

  1. その場で無理に取ろうとせず、皮膚科(または形成外科)を受診する — 医療機関では専用の器具で、マダニの口器が残らないよう皮膚ごと安全に除去してもらえます
  2. 受診が難しい場合の応急対応 — どうしてもすぐに医療機関にかかれない状況では、ワセリンで密閉して窒息させる方法などが知られていますが、確実性に欠けるため、あくまで一時しのぎと考え、できるだけ早く受診してください
  3. 除去後も2週間程度は体調に注意する — 発熱、発疹、倦怠感などSFTSを疑う症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診し、マダニに咬まれたことを必ず伝えてください

現場での備え

マダニは「刺されたその場で分かるハチ」とは違い、後から症状が出て初めて気づくことも多い相手です。だからこそ、予防と作業後のチェックの習慣化が何より重要になります。

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この記事を書いた人

藤川翔(屋号:希翔)

筆者は気づいた時には足がパンパンに腫れるほどマダニに咬まれていたことがあり、その後しばらく蕁麻疹に悩まされた時期もある。ハチやヒル以上に「気づかないこと」自体が一番の恐怖だと実感している。

この記事の裏話や、体験の背景はnote(山守ラボ)でも綴っています。