装備

防蜂ネット・防護服の選び方比較(林業向け)

防蜂ネット・防護服の選び方比較(林業向け)

本記事は筆者の林業現場での実務経験および公的機関の情報をもとにした一般的な情報提供を目的としています。症状の判断や治療の代わりとなるものではありません。実際の対応については医療機関・専門家にご相談ください。緊急性が疑われる場合は、ためらわず119番通報してください。

スズメバチ対策の要となる防蜂ウェアと聞いて多くの人がイメージするのは、養蜂家が着ている全身の防護服だと思います。ですが、林業の作業現場でそのまま使うと、動きにくさやムレで作業効率が大きく落ちてしまいます。

養蜂家が着用する全身防護服の例
養蜂用の全身防護服。ハチへの防護力は高いが、林業現場の機動性・通気性は考慮されていない

林業作業特有の要件

養蜂用の防護服は「巣箱の前でじっと作業する」ことを前提に作られています。一方、林業の現場は違います。

養蜂用防護服はこの4点のうち通気性と可動域で林業作業に不向きなことが多く、専用設計のものを選ぶ価値があります。装備の重さが体への負担に直結するという意味では、腰痛対策で扱ったチェーンソーの重量選びとも共通するところがあります。

価格帯別おすすめ3タイプ

防蜂ネット・防護服の価格帯別タイプ比較
価格帯別3タイプの使い分け

普段の下刈り・伐倒作業では中価格帯のベスト型+ネットを基本装備にし、駆除作業が必要な場面だけフルボディタイプを用意する、という使い分けが現実的です。

実際の下刈り作業での使用感

筆者自身、下刈り中に何度もスズメバチに遭遇してきました。フルボディタイプを常時着用すると数十分でインナーが汗だくになり、かえって集中力が落ちて別のリスク(転倒・道具の扱いミス)を招きます。実際に効果を感じたのは、ベスト型+ネットを基本装備にしつつ、刈払機を止めた瞬間にすぐ外せる着脱のしやすさを優先した組み合わせでした。「常にフル装備」より「危険度に応じて装備を切り替えられること」の方が、現場では実用的です。

空調服という選択肢

防蜂専用ネット・防護服とは別に、実は空調服(ファン付き作業着)もハチ対策として意外と有効です。熱中症対策としても有効な装備が、ハチ対策にもつながるということです。手のひらと足は守れませんが、長袖タイプなら腕・胴体はかなりカバーできます。完璧な防護ではありませんが、通気性を確保しながら露出面積を減らせるという点で、防蜂ネットとの併用にも向いています。筆者は来年、より防護範囲の広いツナギタイプの空調服も試してみたいと考えています。

ただし、想定以上の蒸し暑さの日には空調服だけでは太刀打ちできなかったこともある。ハチ対策・熱中症対策どちらの面でも、空調服は「あれば安心」ではなく「それでも限界がある」装備として付き合う必要がある。

お手入れ・保管方法

装備は「持っている」だけでは意味がなく、いざという時にすぐ使える状態を保っておくことが前提です。次回はハチ以外の山の危険(クマ・熱中症)についても取り上げていきます。

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この記事を書いた人

藤川翔(屋号:希翔)

下刈り・伐倒中心の造林作業を九州南部の山林で行う中で、実際に複数の防護装備を試してきた実感をもとに書いている。

この記事の裏話や、体験の背景はnote(山守ラボ)でも綴っています。