アシナガバチ対策。スズメバチと同じ扱いをして損をしていないか

本記事は筆者の林業現場での実務経験および公的機関の情報をもとにした一般的な情報提供を目的としています。症状の判断や治療の代わりとなるものではありません。実際の対応については医療機関・専門家にご相談ください。緊急性が疑われる場合は、ためらわず119番通報してください。
軒下に蜂の巣を見つけて、反射的に「スズメバチだ」と身構えたことはないだろうか。実際に確認してみると、それはスズメバチではなくアシナガバチだった、というケースは少なくない。見た目も飛び方も違うのに、なぜ混同されやすいのか。そしてこの記事を読んだあとは、次に巣を見つけたときに落ち着いて種類を見分けられるようになる。
「スズメバチだと思ったら別の種類だった」はなぜ多いのか
両者は色も形も違う。スズメバチは黒とオレンジのはっきりしたコントラストを持ち、動きも速い。一方アシナガバチは茶色や赤褐色がかった落ち着いた色合いで、名前の由来になっている長い後ろ脚をだらりと垂らしたまま、ふらふらと飛ぶのが特徴だ。巣の形も異なり、スズメバチの巣は丸くマーブル模様なのに対し、アシナガバチの巣はシャワーヘッドのような形で、巣穴がそのまま外から見える。
それでも混同が起きるのは、多くの人が「蜂=危険=スズメバチ」という単純化した警戒心を先に持っているからだろう。慌てて種類を確認しないまま「とにかく駆除しなければ」と判断してしまう。
攻撃性・毒性は本当にスズメバチと同じなのか
結論から言うと、危険度はかなり違う。アシナガバチはスズメバチほど攻撃性が強くなく、急に近づいたり触れたりしなければ、基本的には刺してこない。スズメバチが巣に近づいただけで攻撃してくることがあるのとは対照的だ。
ただし油断は禁物でもある。アシナガバチの毒性は、最も危険なスズメバチほどではないにせよ、ミツバチよりは強いとされている。「スズメバチより弱い」という情報だけを覚えて、無防備に巣へ近づいていい理由にはならない。
実は「益虫」でもある、という見方
アシナガバチには、もう一つ意外な側面がある。庭木や畑につく毛虫やカメムシといった害虫を捕食する、益虫としての一面だ。人に危害を加えることもある一方で、周辺の植物を守ってくれる存在でもある。
この事実は、巣を見つけたらとにかく駆除するという判断を、一度立ち止まらせる材料になる。作業動線から離れた場所で、人の出入りが少ない位置にある巣であれば、無理に駆除せず様子を見るという選択肢もあり得る。
それでも駆除が必要な場合の、正しい手順
作業動線上にある、あるいは家族や現場の人が頻繁に近づく場所にある場合は、駆除を検討することになる。横浜市泉区の案内によれば、駆除作業は肌を露出しない服装で行い、速効性のあるピレスロイド系スプレー殺虫剤、長靴、夜間なら懐中電灯を用意する。作業は夕方以降、蜂の活動が落ち着いた時間帯に行い、風上から巣に向かって5〜10秒ほど噴射したら、慌てずその場を離れる。巣の真下に立たないことも徹底したい。
火を使って巣を燃やす駆除方法は、火災の危険があるため絶対に避けるべきだとされている。駆除後は当日か翌日中に巣を撤去し、素手では触れずに処分する。
なお、7月下旬から8月中旬にかけては働き蜂の数が最も多くなる最盛期で、警戒心も強まる。この時期の自力駆除は難易度が上がるため、無理をせず駆除業者に依頼する判断も選択肢に入れておきたい。業者に頼んだ場合の費用相場は、巣の場所や種類によって数万円単位で変わってくる。
見分けることが、最初の一歩
軒下や庭木で蜂の巣を見つけたとき、最初にすべきことは駆除でも避難でもなく「種類を見分けること」だ。それがスズメバチなら巣発見時の対応フローの通り最大限の警戒が必要になるし、アシナガバチなら、必ずしも即座に駆除しなくてもいい場合がある。
次に蜂の巣を見つけたら、まず一呼吸置いて、色と飛び方、巣の形を確認してみてほしい。そのひと手間が、無駄な恐怖と無駄な出費の両方を防いでくれる。
実際、今日の現場でも小さな黒いアシナガバチに刺された同僚がいた。世間一般でイメージされる茶色いアシナガバチとは違う個体で、見分けの奥深さを改めて実感する出来事だった。
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