スズメバチ

スズメバチ被害が今年は早い。茨城15人搬送のニュースから林業現場が学ぶこと

スズメバチ被害が今年は早い。茨城15人搬送のニュースから林業現場が学ぶこと

本記事は筆者の林業現場での実務経験および公的機関の情報をもとにした一般的な情報提供を目的としています。症状の判断や治療の代わりとなるものではありません。実際の対応については医療機関・専門家にご相談ください。緊急性が疑われる場合は、ためらわず119番通報してください。

2026年7月10日、茨城県つくば市の遊歩道で、小中高生9人と30〜50代の大人6人、合わせて15人がハチに刺され病院に搬送された。街路樹の中にできていた巣を刺激してしまったことが原因で、駆けつけた消防が巣を撤去する事態になった。刺したのはキイロスズメバチだった。

まだ7月の上旬だ。スズメバチの被害というと、巣が最大まで育つ秋のイメージが強いかもしれない。だが今回の件は、その感覚がすでにずれ始めていることを示している。

なぜ「まだ7月なのに」これだけの被害が出たのか

報道によれば、ハチの生態に詳しい専門家の中村雅雄氏は、気温の上昇に伴って昆虫の活動が活発になると指摘したうえで、「ハチが急激に増える時期が今まさに始まっている」とし、今年は春先の気温が高かったことで、巣作りと個体数の増加の時期そのものが早まったと説明している。

この傾向は今年に限った話でもない。2025年の猛暑の際にも、神戸大学の研究者が同様の見解を示していた。スズメバチは気温30度前後になると活動が活発になり、暖かい日が続くほど巣材集めやエサ集めが順調に進んで、早い段階で巣が大きく育つという。つまり「今年の春が暖かかったかどうか」が、その年のスズメバチの活動時期を前倒しにする直接の要因になる。

林業の現場では、この「早まり」がどう危険に変わるか

多くの現場で「スズメバチの本格的な警戒は秋から」という感覚が、経験則として根付いている。だが暖かい春の年は、その感覚のまま7月の下刈りや伐採に入ると、想定より早く育った巣に気づかないまま近づいてしまうリスクがある。

つくば市の事例は市街地の街路樹で起きたが、山林の作業道や下刈り区域も条件は変わらない。気温の上がり方が同じなら、巣の成長スピードも同じように早まっているはずだ。「今年はまだ大丈夫」という経験則を、今年もそのまま当てはめない方がいい。

今日からできること

暑い春だった年は、いつもより早いタイミングで、次の3つの記事の内容を実践に移してほしい。

つくば市で刺されたのは、いつも通っている遊歩道を歩いていた人たちだった。「いつもの場所だから大丈夫」という感覚こそが、暖かい年には一番のリスクになる。今日の現場に入る前に、いつもより一歩早く、周囲を見渡してみてほしい。

ただし、この「早まり」の感覚が全国どこでも同じように出ているとは限らない。実際、筆者の現場ではむしろ今年は蜂を見かける回数が少ないと感じている。ニュースの傾向と自分の現場の体感、両方を見ながら判断したい。

この記事を書いた人

藤川翔(屋号:希翔)

本記事はニュース報道と専門家の見解をもとに構成している。関連する応急処置・巣発見時の対応・防護服の選び方については、自身の実体験を交えた別記事で詳しく解説している。

この記事の裏話や、体験の背景はnote(山守ラボ)でも綴っています。