下刈り・刈払機のコツ。カラカラに乾いた萱ほど、なぜか刃が通らない

本記事は筆者の林業現場での実務経験および公的機関の情報をもとにした一般的な情報提供を目的としています。症状の判断や治療の代わりとなるものではありません。実際の対応については医療機関・専門家にご相談ください。緊急性が疑われる場合は、ためらわず119番通報してください。
8月28日、下刈りの現場は朝から小雨が残っていた。刈払機のエンジンをかけ、朝露と雨で濡れた萱(かや)の茂みに刃を入れる。いつもより、すっと刃が入っていく感覚があった。
数日前、晴天が続いてカラカラに乾いた萱を刈ったときは、これとは逆だった。同じ萱のはずなのに、妙に硬くて刃が通らない。回転数を上げても、なんとなく刃が滑るというより、萱そのものが手強くなっている感じがする。
濡れている草は重くて大変そうに見える。だから直感的には、乾いている方が軽くて切りやすいはずだ。でも、実際に刃を入れている自分の体感は、その直感とは逆だった。
「濡れた草は切りにくい」、そう聞いたことがある人は多いはず
刈払機と草の状態について調べると、よく出てくるのは「濡れた草・雨上がりの草は絡みつきやすいので避けた方がいい」「乾いてしおれた草は絡まってストレスがたまる」「程よく湿った状態がいちばん刈りやすい」という話だ。刃に草が巻きつく・絡みつくという意味では、これは間違っていないと思う。
つまり、世間で言われているのは「絡みつきやすさ」の話で、自分が感じていたのは「刃の通りやすさ」の話だった。同じ「切りにくい」でも、原因が違う二つの現象が混ざって語られているのかもしれない。
なぜ、乾いた萱ほど刃が通らないのか
萱のような硬い草は、水分を失うと繊維がぎゅっと締まって硬化する。乾燥した木の枝が生木より折れにくく、逆に生木の方がしなって曲がるのと近い話だと考えている。刃の滑りが悪いというより、切る瞬間に萱自体がいつもより硬いものに変わっている感覚に近い。
一方、雨や朝露を含んだ萱は、繊維に水分が入って多少やわらかくなる。多少重くなっている分、刃に対する抵抗はむしろ小さくなる、というのが自分の体感だ。これはあくまで長年刃を入れてきた感覚であって、繊維の水分量と切断抵抗の関係を数値で測ったわけではない。だが、雨の翌日の現場で「今日は刃が入りやすい」と感じることは一度や二度ではなかった。
では、濡れている日に下刈りをすればいいのか
ここで単純に「濡れている方が切りやすいから、雨の日を狙って下刈りをすればいい」とは言えない。斜面での下刈りは、雨が降った後は足元が滑りやすくなる。刃の通りが良くなったとしても、踏ん張りが利かない斜面で刈払機を振るう方が危険は大きい。
刃の通りやすさと、絡みつきにくさと、足場の安全性。この三つは別々の条件で、どれか一つだけを見て「今日は下刈り日和だ」とは判断できない。自分の場合は、朝露が残っている程度の湿り気なら刃の通りの良さを実感しやすく、土砂降りの後の斜面は素直に避けるようにしている。
天気ではなく、萱を見て刃を入れる
同じ「下刈り」でも、その日の萱がどんな状態かで刃の入り方はまるで違う。晴れが続いてカラカラに乾いた萱には、いつもより余計に力が要ると思って刃を入れた方がいい。逆に雨上がりや朝露で湿った萱は、見た目より軽く切れることが多い。
ちなみに、自分が下刈りでふだん使っている笹刃はツムラ 笹刈刃(穴付) 280mm×30Pだ。刃の種類ごとの使い分けは刃の種類と使い分けにまとめている。
今のところ、これは自分の体感でしかない。それでも、次に刈払機を握ったとき、目の前の萱が乾いているか湿っているかを一度意識してみてほしい。刃の入り方が、思っていたのと逆だったという発見があるかもしれない。
山の天気が変わりやすい理由でも書いたとおり、山の現場は天気予報どおりにいかないことが多い。萱の状態も同じで、予報や理屈だけでなく、その日その場所で刃を入れてみないと分からないことがある。
ちなみに、小雨なら刃が入りやすくてむしろ好都合だが、土砂降りになると話は別だ。その線引きと、雨で現場に出られない日に何をしているかは別の記事にまとめた。
草の状態や刃で1日の進み方がどう変わるかは、下刈りは1日何ha刈れるかで実績を比べています。