悪天候

雨の日の作業の寒さ対策|作業中は楽なのに、終わってからどっと疲れる理由

雨の日の作業の寒さ対策|作業中は楽なのに、終わってからどっと疲れる理由

本記事は筆者の林業現場での実務経験および公的機関の情報をもとにした一般的な情報提供を目的としています。症状の判断や治療の代わりとなるものではありません。実際の対応については医療機関・専門家にご相談ください。緊急性が疑われる場合は、ためらわず119番通報してください。

先日、秋の雨の中で下刈りをしました。作業中は暑くならず、いつもより楽に感じたのですが、仕事が終わってから体がどっと重くなり、疲れ方はいつも以上でした。原因は雨で体が冷えていたことだと考えています。

現場での結論:濡れるのは防げない。終わったらすぐ着替える

正直に書くと、自分は雨の日の冷え対策をほとんどしていません。カッパ(雨合羽)を着ても、刈払機を振っているうちに内側が汗でびしょ濡れになり、結局は濡れるからです。

下刈りのように一日中体を動かす作業では、「濡れないようにする」のはほぼ無理です。だから考え方を変えて、濡れた服を着ている時間をできるだけ短くすることに絞ったほうが現実的です。

余裕があれば、肌着を綿から化繊やウールに替えておくと、濡れたときの冷え方が少しましになります。綿は水を吸うと乾きにくく、肌に張り付いたまま熱を奪い続けるからです。

道具を足すなら、次の3つは現場でよく使われていて、評判もいいものです。

「作業中は平気だったから大丈夫」と判断しないことが一番大事です。雨の日の冷えは、動いている間は気づきにくく、止まってから出てきます。

なぜ作業中は楽で、終わってから疲れるのか

作業中に楽に感じるのは、雨が体を冷やしてくれているからです。晴れた日の下刈りは、刈払機を振り続けて体に熱がこもります。雨の日はその熱が雨にどんどん逃げるので、体感としては涼しく、体も軽く感じます。草が湿って刃が入りやすいのも、楽に感じる理由のひとつです(濡れた萱のほうが刈りやすい話)。

ただ、熱が逃げているぶん、体は体温を保つために熱を作り続けています。動いている間は筋肉が熱を出すので釣り合っていますが、作業をやめると熱を作る量が一気に減ります。それでも濡れた服は熱を奪い続けるので、止まった後に冷えが表に出てきます。

濡れがどれだけ熱を奪うかについては、登山医療の分野で何度も指摘されています。救急医が監修した登山向けの解説では、水の熱伝導率は空気の20倍以上あり、濡れた衣服を着たままだと体の熱が奪われると説明されています(YAMAP MAGAZINE)。山岳医の解説でも、風や水の流れが熱を運び去る「対流」は、水だと空気の約20倍になるとされています(登山医学の解説)。

つまり、雨に濡れた服で山にいる時間は、乾いた服でいる時間よりもずっと早く体力を削っています。作業中は動いているので、それに気づかないだけです。

秋の雨は夏の雨よりも冷える

夏の雨なら、濡れてもすぐに体が温まります。9月の終わりごろになると、雨の日は気温そのものが下がり、雨粒も冷たくなります。夏と同じ服装、同じ休憩の取り方のままだと、冷えるのは当然です。

今回の雨はとても寒く感じました。疲れの原因を振り返ると、作業のきつさよりも、この寒さのほうが大きかったと思います。

山での低体温症は「低温」「濡れ」「風」が重なると起きやすくなります。山の現場は尾根に出ると風が強くなるので、秋の雨の日はこの3つがそろいやすい場所です。

冷えのサインを見逃さない

次のような状態になったら、体が冷えています。作業を続けるより、いったん車に戻って着替えるのを優先してください。

手先がかじかんだ状態で刈払機を扱うのは、冷え以前に危険です。足元も雨で滑りやすくなっているので(滑落・転倒の対策)、操作に不安を感じた時点で手を止めます。

土砂降りや雷のときは、そもそも作業しない

ここまでは小雨の中で作業を続ける場合の話です。土砂降りで林道や足元が危ないとき、雷が鳴っているときは、寒さ対策以前に作業を中止します。雨で現場に出られない日の過ごし方は林業の雨の日の話に、雷の判断基準は落雷・悪天候の対策にまとめています。

次の雨の日に向けて

秋の雨の日に出る予定がある人は、まず着替えを一式、車に積んでおいてください。

この記事を書いた人

藤川翔(屋号:希翔)

2026年9月下旬、秋雨の中で下刈りをした日の体験をもとに書いた。作業中は楽だったのに、帰ってからの疲れがいつもより明らかに大きかった。九州南部で造林(植林・下刈り)を専門にしている個人事業主として、カッパを着ても汗で中まで濡れるので、正直なところ作業中の対策はほとんどしておらず、終わったらすぐ着替えることだけを徹底している。

この記事の裏話や、体験の背景はnote(山守ラボ)でも綴っています。